コーヒーは健康の味方?


最新研究で読み解く「寿命・糖尿病・認知症」との意外な関係
毎朝のコーヒーが欠かせない、という方は多いのではないでしょうか。
一方で
「カフェインの摂りすぎは体に悪いのでは?」
「コーヒーは本当に健康に良いの?」
と疑問を持つ方も少なくありません。
私自身、コーヒーは大好きで、以前は1日に5〜6杯飲んでいた時期もありました。
現在はクリニックにコーヒーマシンを置き、朝と昼に1杯ずつ、1日2杯まで。
さらに夕方以降はコーヒーを飲まないよう心がけています。
今回は、最新の科学論文や大規模研究をもとに、
- コーヒーと寿命(死亡率)
- コーヒーと糖尿病
- コーヒーと認知症
の関係を解説しつつ、
なぜ私が「1日2杯・夕方以降は飲まない」のかも、分かりやすくお伝えします。


1.コーヒーを飲む人は「長生き」する?
〜死亡率との関係〜
多くの大規模研究で、コーヒーを習慣的に飲む人は、飲まない人より総死亡リスクが低いことが示されています。
科学的データ
2017年に Annals of Internal Medicine に掲載された研究では、
欧州10か国・約52万人を対象に解析が行われました。
主な結果
- コーヒー摂取者は
消化器系疾患・循環器疾患による死亡リスクが低下 - 1日3〜4杯で最もリスク低下が顕著
- デカフェ(カフェインレス)でも同様の傾向
👉 このことから、健康効果はカフェインだけでなく、ポリフェノールなどの抗酸化物質による可能性が示唆されています。
ポイント
コーヒーは適量であれば、寿命を縮めるどころか
👉 健康寿命を支える飲み物になり得ます。
2.糖尿病リスクを下げる「強力なエビデンス」
コーヒーと2型糖尿病の関係は、医学的にも非常に注目されています。
これは世界中の研究で一貫して示されている、数少ない生活習慣因子の一つです。
科学的データ
Diabetes Care などに掲載された複数研究のメタ解析では、次の結果が示されています。
- コーヒー摂取量が多いほど
👉 2型糖尿病の発症リスクが低下 - 1日1杯増えるごとに約7〜10%リスク低下
- ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などが
- 血糖値上昇の抑制
- 炎症の抑制
に関与していると考えられています。
注意点
- すでに糖尿病治療中の方では
カフェインが血糖変動に影響する場合があります - 砂糖・ミルクたっぷりの缶コーヒーは
👉 予防効果は期待できません
3.認知症予防にも期待?
〜「適量」がカギ〜
高齢化社会で関心が高い認知症・アルツハイマー病。
コーヒーは脳の健康にも影響するのでしょうか。
科学的データ
2023年 Journal of Lifestyle Medicine に掲載されたメタ解析では、
- 1日4杯未満の摂取で
👉 アルツハイマー病リスク低下 - 特に1日1〜2杯で最も効果が高く
👉 リスク約32%低下(相対リスク0.68) - 4杯を超えると効果が消失
(むしろリスク増加傾向)
考えられる理由
- カフェイン・ポリフェノールによる脳保護作用
- ただし過剰摂取は
- 興奮作用
- 睡眠障害
によりメリットを打ち消す可能性
ポイント
👉 「飲めば飲むほど良い」わけではない
4.健康効果を最大化する「正しい飲み方」
研究結果を総合すると、以下が現実的な目安です。
✔ 推奨される飲み方
① 量:1日3〜4杯まで
- EFSA(欧州食品安全機関)
👉 カフェイン400mg/日までが安全(コーヒー1杯でカフェイン約80mg)
② 基本はブラック
- 砂糖・クリームの入れすぎは
👉 メリットを相殺
③ タイミングを意識
- 良質な睡眠は健康の土台
👉 夕方以降のコーヒーは控える
まとめ|コーヒーは「嗜好品」+「健康サポーター」
コーヒーは単なる嗜好品ではなく、
抗酸化物質を豊富に含む飲み物です。
✔ 総死亡率:低下傾向
✔ 糖尿病:予防効果のエビデンスが強い
✔ 認知症:適量でリスク低下の可能性
もちろん、
「コーヒーを飲めば健康になる」わけではありません。
しかし、正しい量とタイミングで楽しめば、
毎日のリラックスタイムが
👉 体と脳のメンテナンス時間になるかもしれません。
👨⚕️ 最後に
私自身は、睡眠と血糖への影響を考え、
1日2杯まで・夕方以降は飲まないというスタイルにしています。
「自分に合った量」を見つけることが、何より大切ですね。
参考文献(References)
- 死亡率: Gunter, M. J., et al. (2017). Coffee Drinking and Mortality in 10 European Countries: A Multinational Cohort Study. Annals of Internal Medicine.
- 糖尿病: Ding, M., et al. (2014). Caffeinated and Decaffeinated Coffee Consumption and Risk of Type 2 Diabetes: A Systematic Review and a Dose-Response Meta-Analysis. Diabetes Care.
- 認知症: 認知症: Kim, D. H. (2023). Effect of Daily Coffee Consumption on the Risk of Alzheimer’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Lifestyle Medicine.
- カフェイン安全性: EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA). (2015). Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal.


- 執筆者
- 山内 雅裕
ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち
院長/糖尿病専門医・内科医
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
- 所有資格
日本内科学会 認定内科医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医


