正月太りはなぜ起きる?どうすれば戻せる?


― 医学的エビデンスから考える「正しいリセット法」 ―
年末年始が終わって
「体重が増えた気がする…」
「ズボンがきつい…」
と感じている方は多いのではないでしょうか。
実はこの「正月太り」、感覚だけではなく医学的にもよく知られた現象です。
そして、放置すると毎年少しずつ体重が増えてしまう原因にもなります。
今回は
- 正月太りは本当にどれくらい増えるのか
- なぜ起きるのか
- どうすれば医学的に正しく戻せるのか
を、研究データをもとにわかりやすく解説します。
正月太りはどれくらい増えるのか?
海外の複数の研究では、年末年始の体重増加は
▶ 平均0.4〜0.9kg程度
と報告されています。
一見わずかに見えますが、問題はここです。
この増えた分が、その後に完全には戻らず、毎年積み重なっていく可能性がある
という点が示されています。
つまり正月太りは「一時的なイベント」ではなく、
長期的な体重増加の入口になりやすいのです。


正月太りの正体は「脂肪+水分」
正月に増えた体重は、すべてが脂肪ではありません。
糖質を多く摂ると体内の「グリコーゲン(糖の貯蔵)」が増えますが、
このグリコーゲンは 1gにつき約3gの水分 を一緒に保持します。
さらに
塩分 → むくみ
アルコール → 脱水後の水分保持
食物量の増加 → 消化管内容物の増加
なども加わり、体重が一時的に増えやすい状態になります。
つまり、
✔ 数日で落ちる分 → 主に水分・内容物
✔ 何週間も残る分 → 脂肪
と考えるとイメージしやすいでしょう。


なぜ正月に太りやすいのか?
原因はとてもシンプルです。
摂取カロリーが増える(ごちそう・間食・アルコール)
活動量が減る(寒い・休み・移動が少ない)
生活リズムが乱れる(睡眠不足・夜食)
これが数日〜1週間続くだけでも、体は確実に反応します。
正月太りを戻す「エビデンスのある方法」
① 毎日体重を測る(これが最重要)
意外ですが、最も効果が高いのはこれです。
研究では
▶ 毎日体重を測り、増減を把握する人の方が体重増加を防げる
ことが示されています。
ポイントは
朝トイレ後など条件をそろえて測る
毎日の数字に一喜一憂しない(週平均で見る)
これだけでも行動が自然と整っていきます。
② 「小さなカロリー赤字」を作る
医学的に推奨されているのは
▶ 1日500〜750kcal程度のカロリー赤字
です。極端な断食や糖質ゼロは必要ありません。
具体的には
主食を1食だけ「小盛り」に
間食・甘い飲料・お酒を少し減らす
たんぱく質と野菜はしっかり摂る
これだけで十分リセットは可能です。
③ 軽い運動を足す
運動単独で痩せるのは難しいですが、食事と組み合わせると効果的です。
おすすめは
食後10〜15分のウォーキング
エレベーターを階段に
週2回の軽い筋トレ
「頑張る運動」より「続く運動」が大切です。
④ 16時間断食は「合う人だけ」
最近話題の「16時間断食(時間制限食)」ですが、
研究では 通常のカロリー制限より優れているとは限らない とされています。
無理に取り入れる必要はありません。
「自分に合って続くならOK」くらいの位置づけで十分です。
正月太りリセット・1週間プラン
✔ 毎朝体重を測る
✔ 夜の主食を小盛りに
✔ 間食・甘い飲料・アルコールを1つ減らす
✔ 食後に10〜15分歩く
これを1週間続けるだけで、多くの方は体重が動き始めます。
まとめ
正月太りは誰にでも起こります。
大切なのは
早く気づき、早く戻す
ことです。
極端なダイエットではなく、
「測る・少し減らす・少し動く」
この積み重ねが、もっとも安全で確実な方法です。
今年はぜひ、正月太りを「なかったこと」にしていきましょう。
参考文献
Yanovski, J. A., et al. (2000). A prospective study of holiday weight gain. N Engl J Med, 342(12), 861–867.
Helander, E. E., et al. (2016). Weight gain over the holidays in three countries. N Engl J Med, 375(12), 1200–1202.
Mason, F., et al. (2018). Effectiveness of a brief behavioural intervention… BMJ, 363, k4867.
Wing, R. R., & Phelan, S. (2006). Long-term weight loss maintenance. Obesity, 14(1), 164–171.
Hall, K. D., et al. (2011). Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet, 378(9793), 826–837.


- 執筆者
- 山内 雅裕
ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち
院長/糖尿病専門医・内科医
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
- 所有資格
日本内科学会 認定内科医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医


