慢性腎臓病とは


「慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう/CKD)」は、腎臓の働きが少しずつ低下し、回復しにくくなっている状態をいいます。
腎臓は血液をきれいにし、体の水分や塩分のバランスを保つ大切な臓器です。
その機能が低下すると、体に不要な老廃物がたまりやすくなり、さまざまな健康への影響が出てきます。
主な原因
慢性腎臓病の原因はさまざまですが、日本では次のような病気が大きな割合を占めています。
- 糖尿病
高血糖が長く続くと、腎臓の細い血管が傷つき、機能が落ちていきます。 - 高血圧
高い血圧は腎臓の血管に負担をかけ、徐々に働きを悪くします。 - 慢性糸球体腎炎
炎症や動脈硬化が進むことで腎臓が硬くなり、ろ過機能が低下します。 - その他
尿路結石、多発性のう胞腎、薬剤性腎障害なども原因となります。
放っておくと…
慢性腎臓病は初期にはほとんど症状がありません。
進行すると、むくみ・だるさ・息切れ・貧血などの症状が出てきます。さらに進行すると、腎臓がほとんど働かなくなり、人工透析や腎移植が必要になることもあります。
また、腎臓病があると心筋梗塞や脳卒中などの心血管病のリスクも高まります。


治療と予防
腎臓の機能は一度低下すると元に戻りにくいため、「進行を食い止めること」が治療の中心です。
- 血圧・血糖・脂質・尿酸値などの管理
高血圧や糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などがある場合は、適切なコントロールが重要です。 - 食事の工夫
塩分を控え(1日6g未満が目安)、タンパク質やカリウム、リンの摂取量も状態に応じて調整します。 - 禁煙と適度な運動
血流を良くし、心血管病のリスクを減らします。 - 薬による治療
腎臓を守る薬(降圧薬、SGLT2阻害薬など)や、合併症を防ぐ薬を使うことがあります。
最後に
慢性腎臓病は、症状がなくても進行してしまう「静かな病気」です。
早期に見つけて生活を整えることで、腎臓を長持ちさせ、透析を防ぐことができます。
当院では、検査結果や生活習慣に合わせたオーダーメイドの腎臓ケアをご提案しています。気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。


- 執筆者
- 山内 雅裕
ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち
院長/糖尿病専門医・内科医
岐阜地区の様々な規模の病院で20年以上にわたり幅広い経験を積んできました。その経験から、病気の予防や早期発見、総合的な診療の重要性を痛感し、当クリニックを開業するに至りました。
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
- 所有資格
日本内科学会 認定内科医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医