肥満症について
体重の「悩み」から、健康の「治療」へ
「最近ちょっと体重増えたかな…」
「健康診断で『肥満』と言われたけど、どうしたらいいんだろう?」
そのように感じている方へ。
実は、「肥満」には2つの種類があります。
- 単なる“体重が増えすぎた”ことによる 肥満
- 健康への悪影響がすでに出ている 肥満症
肥満症は、医療によるサポートが必要な“病気”です。
肥満症とは?
肥満症は、単に体重が多いだけでなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などの病気を合併している状態のことをいいます。
つまり、体重の増加が原因で、健康へのリスクが高まっている状態です。


たとえ見た目に大きな変化がなくても、体の中では少しずつ不調のサインが進んでいるかもしれません。
肥満症が引き起こすさまざまなリスク
肥満症は、放置すると以下のような深刻な病気につながることがあります。
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症
- 心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患
- 睡眠時無呼吸症候群(夜中に何度も呼吸が止まる)
- 変形性膝関節症・腰痛などの運動器障害
- 月経異常や不妊症
- うつ症状や自己肯定感の低下
さらに、がん(大腸がん、乳がんなど)のリスクも高くなることが分かってきています。
肥満症の原因は?
多くの場合、以下のような複数の要因が重なっています。
- 食事の乱れ(高カロリー・高脂肪・早食い)
- 運動不足
- 睡眠の質の低下
- 遺伝や体質
- ストレスや心理的要因
- ホルモンバランスの乱れ
「がんばっても痩せられない」のは、意志の弱さではなく、医学的な背景があることも多いのです。
治療方法について
当院では、患者さんの生活スタイルや体質に合わせたオーダーメイドの治療をご提案しています。
栄養指導
管理栄養士と一緒に、無理なく続けられる食事の工夫を考えます。
「〇〇禁止」ではなく、「これなら続けられる!」を大切にしています。
運動サポート
特別な運動でなくてもOK。日常に取り入れやすいストレッチやウォーキングなどを取り入れながら、楽しく体を動かす習慣を育てます。
行動療法・生活習慣改善
「つい食べすぎてしまう…」などの背景にある生活習慣やストレスに注目し、行動のクセを見直すサポートを行います。
薬物療法(必要な方に医師の判断による)
近年は、安全性の高い肥満症治療薬も登場していますが、これら薬剤の保険診療での処方は施設基準を満たす医療機関のみに制限されています。必要に応じて処方可能な基幹病院を紹介しています。
あなたにとっての「ちょうどよい体重」を一緒に探しましょう


肥満症の治療は、ただ体重を減らすことが目的ではありません。
「あなたらしく、元気に、長く健康でいられる体」を目指すための第一歩です。
私たちは“患者さんの気持ちに寄り添ったチーム医療”で、無理のないサポートを続けてまいります。
まずはお気軽にご相談ください。


- 執筆者
- 山内 雅裕
ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち
院長/糖尿病専門医・内科医
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
- 所有資格
日本内科学会 認定内科医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医