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🛌 最近、ちゃんと眠れていますか?

🛌 最近、ちゃんと眠れていますか?

睡眠不足が、気づかないうちに体に与えている影響 ―

こんにちは。
ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち 院長の山内です。

「忙しくて、つい寝る時間が削られてしまう」
「夜中に目が覚めて、そのままスマホを見てしまう」
「年齢のせいか、眠りが浅くなった気がする」

外来でお話を聞いていると、こうした声を本当によく耳にします。
そして実は、私自身も「睡眠は後回しになりがちだった一人」です。

睡眠を「見える化」してから、体の感覚が変わりました

前回のブログでも少し触れましたが、
私は今年からスマートリングを導入し、睡眠の管理を意識するようにしました。

睡眠時間だけでなく、

  • 眠りの深さ
  • 夜中にどれくらい目が覚めているか
  • 体の回復具合

といった点を、客観的に振り返るようになったのです。

その結果、
今年は例年より体調管理ができている感覚があります。

日中の集中力や疲労感が違うだけでなく、
趣味として続けているスポーツでも、
「コンディションが整っているな」と感じる日が増え、
実際に少しずつ結果にもつながってきています。

睡眠を意識することが、
これほど体全体に影響するとは、正直なところ想像以上でした。

今回は、糖尿病以外の病気という視点から、
「睡眠が足りない状態が続くと、体で何が起きているのか」をお話しします。


1.心筋梗塞や脳卒中など(心臓や血管は、寝ている間に休んでいます)

私たちの体は、眠っている間にようやく本格的なメンテナンスに入ります。
特に心臓や血管は、睡眠中に負担が軽くなり、回復する時間を得ています。

ところが、睡眠時間が短かったり、眠りが浅い状態が続くと、

  • 夜でも体が緊張したまま
  • 血圧や心拍数が下がりにくい
  • 血管にじわじわ負担がかかる

という状態になります。

これは、「今日すぐに症状が出る」ものではありません。
ですが、何年も積み重なることで、心筋梗塞や脳卒中のリスクにつながると考えられています。


2.高血圧(血圧がなかなか下がらない人は、睡眠を見直す価値があります)

「薬は飲んでいるのに、血圧が思ったほど下がらない」

そんな方では、睡眠が影響しているケースも少なくありません。

本来、血圧は夜に下がるのが自然です。
しかし、

  • 寝不足
  • 眠りが浅い
  • いびきや無呼吸がある

と、夜間も血圧が高いままになりやすくなります。

血圧の治療は、薬だけでなく
「ちゃんと眠れているか」も含めて考えることが大切です。


3.肥満・メタボリックシンドローム(寝不足だと、なぜ太りやすくなるのか)

「そんなに食べていないのに体重が増える」
「甘いものがやたら欲しくなる」

これも、睡眠不足が関係していることがあります。

睡眠が足りないと、

  • 食欲が強くなる
  • 満腹感を感じにくくなる
  • つい高カロリーなものを選びやすくなる

という体の変化が起こります。

意志の問題ではありません。
体がそういう状態になってしまうのです。


4.うつ病・精神疾患(「眠れない」は、心からのサインかもしれません)

不眠が続くと、

  • 気分が落ち込みやすい
  • 物事を前向きに考えにくい
  • 疲れが取れない

といった変化が出てきます。

実際に、不眠が先にあり、その後うつ症状が出てくるケースも多く知られています。

「年のせい」「性格の問題」と片付けず、
眠れない状態が続くこと自体を、体からのサインとして受け止めることが大切です。


5.認知症・アルツハイマー病(睡眠は、脳の“掃除の時間”でもあります)

睡眠中、脳では老廃物を洗い流すような仕組みが働いています。

眠りが足りない状態が続くと、

  • 脳の疲れが取れにくい
  • 物忘れが増えたと感じる
  • 集中力が続かない

といった変化を感じやすくなります。

中年期以降の睡眠習慣が、
将来の認知機能にも関係している可能性が指摘されています。


6.免疫力・感染症(しっかり眠ることは、免疫力を守ること)

「最近、風邪をひきやすい」
「ワクチンを打っても、効果が気になる」

こうした点にも、睡眠は関係しています。

睡眠が不足すると、

  • 免疫の働きが弱くなる
  • 感染症にかかりやすくなる
  • ワクチンに対する体の反応も弱くなる

ことが分かっています。

よく眠ることは、特別なことではなく、最も基本的な体調管理です。


まずは「完璧」を目指さなくて大丈夫です

「7〜8時間寝なければ」と思うと、かえってプレッシャーになります。

まずは、

  • 起きる時間をなるべく一定にする
  • 寝る直前のスマホを少し控える
  • 「今日は早めに布団に入ってみよう」と思う日を作る

それだけでも十分です。


まとめ 〜 今日からできる、体への投資 〜

睡眠は、

  • 心臓
  • 血圧
  • 体重
  • 気分
  • 免疫

すべてに静かに影響しています。

忙しい毎日だからこそ、
「今日は少しだけ睡眠を大事にしてみよう」
そう思ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。


📚 参考文献

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  7. Baglioni C, et al. Insomnia as a predictor of depression: a meta-analytic evaluation. J Affect Disord. 2011;135(1–3):10–19.
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  12. Karine S, et al. A meta-analysis of the associations between insufficient sleep duration and antibody response to vaccination.
    Curr Biol. 2023 Mar 13;33(5):998–1005.e2. doi: 10.1016/j.cub.2023.02.017.
山内 雅裕
執筆者
山内 雅裕

ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち

院長/糖尿病専門医・内科医

岐阜地区の様々な規模の病院で20年以上にわたり幅広い経験を積んできました。その経験から、病気の予防や早期発見、総合的な診療の重要性を痛感し、当クリニックを開業するに至りました。
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
所有資格

日本内科学会 認定内科医

日本糖尿病学会 糖尿病専門医