Blog

ブログ

「インスタントコーヒーでも大丈夫ですか?」   ~患者さんからの質問に専門医が答えます~

「インスタントコーヒーでも大丈夫ですか?」   ~患者さんからの質問に専門医が答えます~

先日、このブログで「コーヒーと健康」についての記事を書いたところ、
何人かの患者さんから嬉しい反応をいただきました。

その中で、こんな質問を受けました。

「先生、コーヒーの記事を読みました。
私は毎日コーヒーを飲んでいるのですが、
飲んでいるのはインスタントコーヒーなんです。
インスタントでも、あの記事に書いてあったような
健康効果はあるのでしょうか?」

確かに、
「コーヒーは体に良い」と聞くと、
「豆から挽いた、ちゃんとしたコーヒーでないと意味がないのでは?」
と思われる方も多いかもしれません。

一方で、忙しい日常の中では

  • インスタントコーヒー
  • 職場でさっと飲めるコーヒー

が現実的、という方も少なくないでしょう。

そこで今回は、
「インスタントコーヒーでも健康効果はあるのか?」
「豆から挽いたコーヒーと、何が違うのか?」
について、最新の研究データや論文をもとに、
できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。

インスタントコーヒーでも、健康効果は十分に期待できます。

まず最初に結論を書いてしまうと「インスタントコーヒーでも、健康効果は十分に期待できます。

これまでの研究から分かっているのは、

  • コーヒーの健康効果(死亡率低下、糖尿病リスク低下など)は
    「コーヒーという飲み物そのもの」と関連している
  • その効果は
    豆から挽いたコーヒーに限らず、インスタントコーヒーでも観察されている

という点です。

確かに、
クロロゲン酸(抗酸化物質)などの含有量は、一般的に豆から淹れたコーヒーの方が多い傾向はあります。
しかし、インスタントコーヒーにもこれらの成分は含まれており、

👉 「インスタントだから効果がない」わけでは決してありません。

大切なのは

  • 無糖であること
  • 飲み過ぎないこと
  • 睡眠を妨げない時間帯に飲むこと

です。


🔵 患者さんの質問 Q&A

Q1.インスタントコーヒーでも糖尿病予防の効果はありますか?

A.あります。

多くの疫学研究やメタ解析では、
コーヒー摂取量が多い人ほど2型糖尿病の発症リスクが低いことが示されています。
これらの研究は、コーヒーの種類(インスタントかレギュラーか)を厳密に分けていないものが多く、
👉 インスタントコーヒーも「コーヒー摂取」として効果に含まれていると考えられます。


Q2.やはり豆から挽いた方が体に良いのですか?

A.「より多くの成分を摂りたいなら有利」ですが、必須ではありません。

豆から淹れるコーヒーは、

  • クロロゲン酸(抗酸化物質)
  • ポリフェノール

などが比較的多く含まれる傾向があります。

ただし、
👉 インスタントでも健康効果が否定されることはなく
👉 生活に無理なく続けられることの方が重要です。


Q3.缶コーヒーやスティックコーヒーはどうですか?

A.「無糖タイプ」なら問題ありません。

注意が必要なのは、

  • 砂糖入り
  • クリームたっぷり

のタイプです。

これらは

  • 血糖値を上げやすい
  • カロリー過多になりやすい

ため、コーヒー本来の健康メリットが相殺されてしまいます

👉 選ぶなら
「ブラック」「無糖」「微糖ではなく無糖」がおすすめです。


Q4.1日に何杯まで飲んでいいですか?

A.目安は1〜3杯、多くても3〜4杯までです。

欧州食品安全機関(EFSA)などでは、
カフェイン400mg/日までが健康な成人の安全域とされています。

また研究でも、
👉 健康効果が最も安定しているのは1日3〜4杯前後
と報告されています。


Q5.夕方以降に飲むのはなぜ良くないのですか?

A.睡眠の質を下げてしまうからです。

睡眠不足や睡眠の質の低下は、

  • 血糖コントロール悪化
  • 高血圧
  • 体重増加

など、生活習慣病のリスクを高めます。

👉 健康のためにコーヒーを飲むなら、夕方以降は控える
これが非常に大切なポイントです。


🔵 まとめ

コーヒーは「豆から挽かないと意味がない」わけではありません。
インスタントコーヒーでも、正しく選び、適量を守れば、
日常生活の中で健康を支える“頼れる習慣”になり得ます。
大切なのは、種類よりも飲み方です。

🔵 参考文献

① Poole R, et al.

Coffee consumption and health: umbrella review
BMJ, 2017

👉 複数のメタ解析を統合した「アンブレラレビュー」。
👉 コーヒー摂取は総死亡率、心血管疾患、2型糖尿病などのリスク低下と関連
👉 デカフェでも同様の傾向があり、「カフェイン以外の成分」の重要性を示唆。


② Jeon JS, et al.

Chlorogenic acid and caffeine content of commercial coffee products
Journal of Advanced Research, 2019

👉 市販コーヒー製品(インスタント・レギュラー)の成分分析。
👉 クロロゲン酸はレギュラーコーヒーで多い傾向だが、
👉 インスタントにも一定量含まれることを確認。


③ Ludwig IA, et al.

Coffee consumption and health: analysis of chlorogenic acids
Food & Function, 2014

👉 インスタントと抽出コーヒーのクロロゲン酸量を比較。
👉 インスタントでも製品によっては比較的多く含まれる例があることを示す。


④ Ding M, et al.

Caffeinated and decaffeinated coffee and risk of type 2 diabetes
Diabetes Care, 2014

👉 カフェイン入り・デカフェ双方で
👉 2型糖尿病リスクが低下
👉 健康効果が「カフェインだけではない」ことを示す代表的メタ解析。

山内 雅裕
執筆者
山内 雅裕

ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち

院長/糖尿病専門医・内科医

岐阜地区の様々な規模の病院で20年以上にわたり幅広い経験を積んできました。その経験から、病気の予防や早期発見、総合的な診療の重要性を痛感し、当クリニックを開業するに至りました。
当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病を専門としていますが、総合内科医としても、さまざまな病気の診療に対応しています。
所有資格

日本内科学会 認定内科医

日本糖尿病学会 糖尿病専門医